東京メトロ「後楽園」駅から徒歩5分! 整形外科(一般外来、スポーツ外来、理科診療)、東京都文京区小石川の「こやまクリニック」です。

中高年の方へ

以前の職場は、講道館の建物の中にありました。
柔道家や、他の競技のアスリートの患者さんの割合も多い診療所でした。
しかし、統計をとってみると柔道関係の方は、全体の1割強でした。
それだけで経営が成り立つはずもありません。
私としては、その対象を地域の住民の皆様へも拡げようと思い、さまざまな活動や著述をしてきました。
それまで競技やスポーツとは無縁に過ごしてこられた地域の中高年の方達にも、運動を取り入れることによって健康になっていただき、最終的には病院に来なくてもいい身体になってもらいたいと思っています。
現在、私自身も44歳で、いわゆる中年と呼ばれる世代になりました。
しかし、今でも柔道を週に1度か2度、空手を月に2度か3度の割で稽古しています。ともに汗を流し、ともに酒を酌み交わす仲間にも恵まれました。おかげで、肉体的にも精神的にも、張りのある毎日を送ることができています。
この経験を、自分だけのものとして独占するつもりはありません。
これからは、私を健康にしてくれた運動や武道への恩返しのつもりで、その効用を語っていきたいと思います。

腰痛対策
肩こり対策
膝の痛みについて
上手な湿布の使い方
転ばないために
大掃除での注意
VDT症候群
酔狂の勧め
運動を続けるコツ

腰痛対策

500万年前に2本の足で歩くようになって以来、腰痛は人間の宿命的な症状となりました。
平成13年の国民生活基礎調査によれば、日本人が感じる自覚症状の第1位が「腰痛」で、10人に1人、約10%の人が苦しんでいるのだそうです。
これが60歳から70歳台になれば、この割合が約20%に跳ね上がるとの報告もあります。  
腰痛には、骨に原因のあるもの、椎間板に原因のあるもの、神経に原因のあるもののなど、いろいろなものがあります。しかし、ほとんどの腰痛は、特に「ぎっくり腰」と呼ばれるものは、腰の筋肉の損傷によるものです。筋肉の損傷に対する治療は、2種類のことが考えられます。
一つは負担を軽くしてやること、そしてもう一つは筋力を増強してやることです。
「守りの治療」と、「攻めの治療」と言っていいでしょう。負担に負けない筋力を養成し、筋肉の柔軟性を保っておくことが大切です。  
また仮に、骨や椎間板などの老化が原因であったとしても、筋肉をいい状態に整えることは、症状を軽減するのに効果があります。年をとってくれば、多かれ少なかれ万人に老化が訪れるはずなのに、すべての人が腰痛を訴えているわけではありません。腰痛のない人は、恐らくはこの筋肉のコンディショニングが上手なのでしょう。  
具体的な方法については、拙著「体力回復トレーニング」をご参照ください。

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肩こり対策

もともとは四本足で移動していた動物の骨格から、肩の動きの自由度を高めるために、人間の上肢の骨格は、強固な骨と骨の結びつきを失いました。
安定性よりも自由度を選んだために、人間は肩こりに苦しめられるようになりました。
重みのある腕を支えるために、肩甲骨を吊り上げておく僧帽筋などの筋肉には常に緊張がかかっているからです。  
僧帽筋の緊張を解くためにお勧めしている運動は、肩をすくめて5秒間キープ、その後の脱力、それを3~5回繰り返すことです。これなら、仕事の合間などに、時間を決めてやっていただけるものでしょう。  
もし可能ならばウエイトトレーニングの現場で言うところの「シュラッグ」、つまりバーベルを両腕に下げ、肩すくめを前から後ろへ、後ろから前へと回転させるようにして行います。あとはダンベル体操のようなもので、肩から頸にかけての筋肉を全般的に鍛えていただくことでしょう。

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膝の痛みについて

ナチスだったか何だったか忘れましたが、拷問しようとする人間を、電話ボックスよりももっと狭い箱の中にずっと入れておいたという話を聞いたことがあります。
しゃがんだり、座ったりすることもできず、その人はずっと立っていなければならないので、徐々に膝が痛くなります。人間の痛みの中で、もっとも耐え難い痛みの一つが、膝の痛みだというのです。  
年をとってくると、関節の表面を覆っている軟骨が磨り減ってきます。
クッションで覆われた棒で叩かれても痛くない場合でも、むき出しの金槌で叩かれると痛いように、
骨と骨とが直にゴリゴリと擦れ合うような格好になり、痛みや腫れが出やすくなります。  
レントゲン写真を撮ると、軟骨の部分は写真に写らないため、
骨と骨との間の隙間となって見えてきます。
若者の正常な膝だと、大腿骨側に4mm、脛骨側に4mmで合計8mmの隙間が見えるのですが、
高齢になってくると、この隙間が狭くなってきます。  
残念ながら、一度磨り減ってしまった軟骨は、ほとんど再生しないとも言われています。
大事に使うしかないのです。
膝の安定性のために重要な大腿四頭筋を強化し、肥満にならないように気をつけます。
O脚のひどい人には、足の裏に装具をつけることも、膝にかかる負担を軽減するためにいい方法です。  
最近、軟骨の構成成分のヒアルロン酸を関節の中に注入する治療が、多くの施設で行われるようになり、効果も得られています。それではこの注射によって、実際に軟骨が増えるか、レントゲン写真で隙間が広がるかというと、なかなかそうはいきません。  
ヒアルロン酸の効果の効果を説明するときに、私自身は、「傷んで表面がデコボコになった関節の表面を、コーティングするんでしょうかねえ」と言うことにしています。

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上手な湿布の使い方

よく外来で患者さんに、冷やしたほうがいいのか温めたほうがいいのかと聞かれます。
原則として、激しい痛みや腫れのある急性期は冷やして、鈍い痛みになったり、重だるく、こった感じの残っている慢性期には温めたほうがいいと説明します。
ただ湿布に関しては、本人の「気持ちがいい」という感覚を頼りにしてもらっていいと思います。  
湿布薬には、それ自体、冷やしたり、暖めたりする効果はほとんどありません。貼った当初は「ひやっ」と冷たく感じても、貼ってしまえば、数分で皮膚と同じ温度になってしまいます。  
そのあとは湿布に含まれているメントールなどの成分の刺激によって、さわやかさを感じさせるだけで、温度が低くなっているわけではありません。打撲や捻挫をした直後など、本当に冷却が必要な場合には、冷湿布よりも、氷水を入れたビニール袋などを局所にあててもらいます。  
最近の湿布には、鎮痛剤を含んでいて、それが皮膚から吸収され、鎮痛効果を得ることを目的にしたものがあります。
一方の温湿布には、トウガラシの成分などが含まれていて、その刺激によって皮膚に温かさを感じさせます。そうすることで、筋肉をリラックスさせたり、筋肉内の血流を改善させることを狙っています。
皮膚の刺激が強いだけに、皮膚の弱い人はかぶれてしまうこともあります。1日に2回張り替えるとして、その間の数時間は湿布をはがして、皮膚を休ませる時間を持つといいでしょう

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転ばないために

骨粗鬆症のある高齢者が転んでしまうと、骨折を起こしてしまうことがあります。
高齢者における骨折の好発部位には、上腕骨の付け根(肩関節)、手首の骨、大腿骨の付け根(股関節)、背骨の4つがあります。
この中で、大腿骨の付け根と背骨の骨折は、それによって立位を保つことが困難となり、その後の治療が長引くと、寝たきりになる可能性の高い骨折ですので、注意が必要です。  
骨折を起こさないためには、「骨を強くすること」も重要ですが、それと同時に、あるいはそれ以上に、「転ばない」ことも重要なことです。  
転ぶということは、身体が重力に負けて、立位を保てなくなったということです。
転ばないためには、重力に負けないための筋肉、「抗重力筋」を鍛えることが必要です。
主な抗重力筋を下から順番に挙げていくと、ふくらはぎの筋肉「下腿三頭筋」、太ももの前面の筋肉「大腿四頭筋」、お尻の筋肉「大殿筋」、背中の筋肉「背筋(脊柱起立筋)」となります。
これらを鍛える具体的な例を挙げてみましょう。

■ハーフスクワット 20回

壁の前に両足を肩幅に広げて立ち、壁に両手をついてください。この姿勢から、ゆっくりとしゃがんでみます。それほど深くまでしゃがみ込む必要はありません。膝が直角になるぐらいまでで結構です。できれば、1回に3~4秒かけるぐらいのつもりで、膝を曲げた姿勢を保ってみてください。

■爪先立ち 20回

両足を肩幅に広げた姿勢から、かかとを上げます。これもできれば、1回に3~4秒かけるぐらいのつもりで、爪先立ちの姿勢を保ってみてください。

■サイドキック 20回

両足を肩幅に広げた姿勢から、まず左足に体重をかけつつ、右の足を横の方向に蹴り上げます。
このときに膝が曲がらないようにします。
1回に3~4秒かけるぐらいのつもりで、ゆっくり上げて、ゆっくりと下ろします。
次に右足に体重をかけつつ、左の足を横方向に蹴り上げます。
これを左右交互に20回行います。

■バックキック 20回

先ほど横方向に上げた足を、今度は後ろの方向に蹴り上げます。
このときに膝が曲がらないように、またお尻の筋肉が緊張していることを意識します。1回に3~4秒かけるぐらいのつもりで、ゆっくり上げて、ゆっくりと下ろします。
これも左右交互に20回行います。

サイドキックとバックキックの動作には、片足で立つ動作が含まれます。
筋力訓練であるとともに、バランスを保つ訓練でもあります。
足を上げるときには、勢いをつけすぎて、バランスを崩さないでください。
転倒予防体操で転倒しては、元も子もありません。
必ず壁につかまってやってください。

言葉の説明ではピンと来ないかもしれません。
やり方の分からない方には、しっかりと指導させていただきます。どうぞ、ご来院ください。

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大掃除での注意

あっという間に、2005年も残りわずかとなりました。大掃除が気になる時期です。
いざ掃除を始めると、こんなに掃除をするところがあるかと思うほど、空間が広く感じられ、そこにはいくつか落とし穴が隠れています。
そこで今日は、大掃除で気をつけたい、いくつかのことをお話したいと思います。  
高いところを掃除するとき、ふらつくことがあります。
これは普段、おへその下あたりにある重心が、手を上げたり、爪先立ちになったりすることで、重心の位置が変わることにより安定性が失われるからなのです。
また拭き掃除や物を移動するとき、中腰になることにより、腰に負担がかかります。
壁を磨き続けることで、手や指を痛くする可能性もあります。
ざっと考えただけでもいろいろ思いついてしまいます。

ではここで、穏やかに大掃除を終わらせるポイントを確認します。
(1).1日で終わらせず、何日かに分けて少しずつ行うと、負担が軽くなります。
(2).高いところへ上がるときには、安定した大きめの台を選びます。台に上ったり、
  上を向く作業をするときは、壁や、何か支えになるものを持ってバランスを取れるようにします。
(3).中腰で続ける作業は、お風呂で使うような小さいイスや、雑誌をいくつか重ねて束ねたもの
  の上におしりを置いて作業をすると、負担が軽くなります。
(4).拭き(磨き)作業はいっきにやらず、範囲を決めて少しずつ行いましょう。
(5).作業を続けるときは、マメに体勢をかえ、伸びをしたり軽く体操をしましょう。
(6).無理だと思ったらあきらめましょう(笑) せっかくの大掃除で、
  みなさんが怪我をすることがないよう、お祈りしています。  
2005年12月 長坂

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VDT症候群

VDT症候群であるとか、VDT検診とかという言葉をよく聞くようになりました。
VDTとは、「Video Display Terminal」の略で、コンピューターやテレビゲームの画面のことです。
VDT症候群とは、そういった画面を、同じ姿勢で見続けることによって起こる、
目や肩の症状のことです。
別名、テクノストレス症候群と呼ばれます。  
肩や首のこりを訴えて整形外科の外来を訪れる人を多く見ていると、ある共通点を見出すことができます。責任感が強く、職場での地位も高く、職場で必要とされていることを強く自覚されている方が多いようです。そして、真面目で几帳面です。

しかし、陽性思考ができずに、いつまでも悩んでしまう人も多いようにも思えます。
痛みの程度を数字で表して、10程度だったものが2程度になったとして、改善した8を喜ぶよりも、残った2の症状がいつまでも気になってしまいます。2の症状を気にしてばかりいると、やがてその2が、その人の心の中では10となって、気にしてしまうようになるのでしょう。  
精神的緊張、怒りや不安などにより、筋肉は緊張します。筋肉が過度に緊張すると、その中を走る血管も収縮し、乳酸などの疲労物質が排泄されにくくなります。そうなるとさらに筋肉が収縮して、悪循環を起こします。  
軽い体操などの習慣、できれば気をまぎらわせるような趣味、気をつかわない交友関係を持っていただくよう、意識してみてはいかがでしょうか。
参考文献「体力回復トレーニング」山海堂 (2006年4月)

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酔狂の勧め

私の知人の大学の先生が、歩いて東海道を旅されました。
1日に20kmほど歩き、25日ほどかけて、京都を目指しているそうです。江戸時代の人達の気持ちにもどり、東海道を足で感じたいというのが、その動機だったとのことです。

この先生、決して肥満体型ではないのですが、遺伝的な体質もあり、糖尿病の持病をお持ちです。
定期的に運動もされていますが、残念ながら、空手のようなパワーが要求される種目は、生活習慣病の運動療法には向いていません。

そんな先生ですが、有酸素運動の代表である歩行運動を、1日に20kmほど、毎日少しずつ続けました。
旅の間は、お酒も控えめにされていたとのことで、旅の間は、血糖値も安定していたそうです。
健康に生きるためには、速筋も遅筋も、両方が必要です。
筋肉をつける運動だけでは、血糖値や、コレステロールや中性脂肪の値を下げることはできません。
また歩行といった、エアロビック優位の運動だけでは、筋肉量を増やすのは難しく、太りやすい体質はそのままです。

「流されない確固たる自己」というものも大切でしょうが、「流されてみるフットワークの軽さ」は、人生を広げてくれることでしょう。

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運動を続けるコツ

運動習慣を持ち続けるためのコツのようなものを、ちょっと考えてみました。

①記録をつけること

日本人は、データが大好きです。昨日は何歩歩いたとか、今日は何歩歩いたとか、体重は何キロから何キロまで変化しただとか、そういった数字をエクセルなどに入れておくと、励みになるでしょう。

②気まぐれの勧め

新年などに、「今年は運動するぞ」と一念発起して、ジョギングシューズを買ったり、トレーニングウエアを新調したりする方も多いことでしょう。
しかし、決めたことが守れないことは、忙しいビジネスマンであれば、よくあることです。
そういったときに、「あーあ、俺は駄目な人間だ」などと、落ち込む必要はありません。
駄目な自分に目を向けることを避けるためか、「運動なんて、最初から興味がなかったんだ」などと、
決意が別に大したものではないのだと思ってしまう心理が働いてしまいます。
「トレーニングウエアを着ないと運動した気になれない」とか、「ジムに行かないと、運動はできない」などと思わず、最初は、「月がきれいだから、帰りは一駅分歩いてみよう」とか、「テレビを見ながら、軽く筋トレをやってみよう」とかでいいのです。

③一緒に運動する仲間をつくること

忙しい人が二人集まってテニスをしようとしても、なかなか予定を合わせることができません。
ところが道場というところは、道着を持って、ぶらりと立ち寄れば、そこに一緒に汗を流そうという仲間が待ってくれているのです。
「道場」という、古臭い呼び名ですが、意外と、忙しい現代人にぴったりなシステムではないかと思います。これは私の経験から語ってみました。

④いろいろなことに興味を持つこと

焼き物が好きな人は、自分で陶芸をしてみるといいでしょう。土をこねることが、全身運動だということが分かるはずです。
美術が好きな人は、ちょっと遠くの美術館などに足を伸ばしてみると、それがウォーキングのいい機会になります。文科系の趣味だとか、体育会系の趣味だとかと、特に垣根をつくらず、興味があることには何にでも積極的にアプローチしてみるといいでしょう。

⑤自分にご褒美を

苦しいばかりがトレーニングではありません。「ここまで体重が減ったら、あのブランドのスーツを買おう」だとか、自分でご褒美を設定するといいでしょう。

私の考えたのは、以上です。 他にいいアイデアがあれば、お教えください。

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